コラム

2015.02.19

価格と消費者行動 2

―EDLP・ハイ&ローが店舗選択に与える影響について―

小売店の価格政策としてEDLP (Every Day Low Price)とハイ&ローがあります。価格政策が店舗選択に与える影響、さらにはPB強化が店舗選択に与える影響について考察してみます。

EDLPは特売による値引きをあまり行わず毎日低価格で提供し、消費者に値ごろ感を感じてもらうことで集客を図ります。価格変動を抑えることでチラシ等の広告費用や店舗オペレーションコストの削減を目指します。EDLP を実現するためにはコストを抑える必要がありますが、日本の小売チェーンでローコスト・オペレーションを行なっているところは少なく、本当の意味で EDLPを実施できていません。ハイ&ローは集客のために一部の商品を値引き販売し、他の商品も買ってもらうことで利益を確保します。商品ごとの 利益率に差をつける手法は粗利ミックスと呼ばれます。

日本ではハイ& ローを採用する小売チェーンが多くなっています。日本の場合は店舗間の距離が短く、移動のコストは低くなります。そのため複数の店舗の使い分けが発生して います。EDLPを採用してある商品を80円で売っている店舗で毎日買った場合、その商品に対する支出額は週で560円となりますが、火曜日と金曜日は 75円で売っているA店に行き、他の曜日には特売をしている他店に行くという使い分けを行うと、トータルの支出額をEDLP店舗に行った場合よりも低くす ることができます。食品購買において店舗選択時に重視される要因は価格のみではなく、生鮮食品の充実等も重要となります。しかし所得の増加が見込めない状 況では、店舗選択理由としての価格の重要度は増すと考えられます。EDLPを採用するチェーンでは、トータルでの支出額が店舗使い分けを行った場合よりも 低くなければ顧客のロイヤルティを獲得するのは難しくなります。トータルでの支出額が低くなることを訴求する必要があると考えられます。

EDLP1

EDLP23

 EDLPとハイ&ローのメリット・デメリット:山口正浩(2009)を抜粋編集

EDLPの実現にはローコスト・オペレーションと、プライベートブランド(以下PB)による仕入原価の低下と利益の確保が必要となります。2番手以下のメーカーの商品を安く仕入れて安く売るだけではEDLPは実現できません。欧米 の小売チェーンはPBの比率が高く、米国のWal-Martでは40%、英国のTescoでは50%となっています。日本でのPB比率は5~10%程度と 言われており、欧米のチェーンと比較すると低くなっています。集客のための差別化商品としてもPBは重要であり、今後もPB比率は高くなると考えられます。最近ではライフコーポレーションとヤオコーが共通PBの開発や商品仕入れのために業務提携するなどの動きも出ています。競争力強化のためにPB開発は 重要なテーマとなります

33

 Wal-Martの子会社である西友が「KY(価 格安い)でいこう」や「バスプラ(バスケット・プライス)」と価格訴求を行なっています。いなげやもディスカウント店「いなげやina(いーな)21」の 低コスト運営のノウハウを移植することでEDLPを導入し始めています。日本では継続して低価格販売を行うディスカウント業態は少ないですが、消費者の価 格志向の強まりに伴い今後は大きく発展する可能性があります。

Wal-Martの子会社である西友が「KY(価格安い)でいこう」や「バスプラ(バスケット・プライス)」と価格訴求を行なっています。いなげやもディスカウント店「いなげやina(いーな)21」の 低コスト運営のノウハウを移植することでEDLPを導入し始めています。日本では継続して低価格販売を行うディスカウント業態は少ないですが、消費者の価格志向の強まりに伴い今後は大きく発展する可能性があります。

<参考文献>

Kumar, N & Steenkamp, J.E. (2007) “Private Label Strategy: How to Meet the Store Brand Challenge”, Harvard Business School Pr;
上田隆穂(1999), 「マーケティング価格戦略」, 有斐閣
小川孔輔(2009), 「マーケティング入門」, 日本経済新聞社
杉田善弘他(2005), 「プライシング・サイエンス」, 同文舘出版
守口剛(2006), 「価格戦略の理論と実際:第5回 EDLP政策とハイ・ロウ価格政策」, 流通経済研究所
山口正浩(2009), 「プライス・マーケティング」, 同文館出版