Eagle Eyeメーカー 全薬工業株式会社様 Eagle Eyeで「移り変わるニーズの変化」をリアルタイムに捉える
Eagle Eyeで「移り変わるニーズの変化」をリアルタイムに捉える
「ジキニン」というロングセラーブランドをもつ歴史ある企業でありながら、データを活用し時代のニーズを捉える製品づくりにも取り組む全薬グループ。今回はマーケティング戦略を担う寺田匡宏様にお話をうかがいました。
(写真:全薬工業株式会社 寺田様)
お話をうかがったのは
全薬工業株式会社
製品企画本部 OTC企画部 OTCマーケティング課 課長 寺田匡宏様
導入製品
Eagle Eye
ID-POSと消費者調査の組み合わせで、「行動」と「意識」の両面からアプローチ可能に
―はじめに担当されている業務について教えてください。
寺田様: 全薬グループでは病院で処方される医療用医薬品と、ドラッグストア等で販売される市販薬や基礎化粧品を展開していますが、私は総合かぜ薬の「ジキニン」をはじめとした市販薬や、「ジュレリッチ」、「アルージェ」などスキンケア製品のブランド戦略、マーケティング戦略を担当しています。消費者のニーズや行動を分析し、そのデータを起点に営業やプロモーション部門、開発部門など他部署と連携していく役割です。
―2020年からEagle Eyeを導入いただいていますが、導入当時はどのような課題がありましたか?
寺田様: Eagle Eye導入前はPOSデータの分析とインタビューなどの消費者調査を並行して行っていましたが、POSデータとインタビュー結果の間にある乖離が課題でした。これはアスキング調査について回る「本音と建前」の問題です。
やはり、生活者の「行動」にまつわるデータがほしいと考えていたとき、Eagle Eyeに出会いました。実際に購入してくださる方のことを知らなければ、具体的な戦略が打ち出せないと考え、導入を決めました。
―実際に導入されていかがでしたか?
寺田様: どういったニーズを持つ方が弊社の商品を購入してくださっているか、それが可視化できたことは大きかったですね。実際の購買行動と消費者調査の結果を照らし合わせることで、「行動」と「意識」の両面からアプローチできるようになりました。これは弊社にとっても大きな転機だったと思います。
Eagle Eyeによって高まった、市場やニーズへの「解像度」
―Eagle Eyeを導入したことで具体的にどのような変化がありましたか?印象深いエピソードがあれば教えてください。
寺田様: 記憶に残っていることは2つあります。
1つ目は、消費者の購入目的によって市場を切り分ける「新しい視点」を持つことが出来ました。それまで「ジキニン」を分析するとき、かぜ薬全体の市場動向を追っていました。しかし、Eagle Eyeで性年代や流入・流出などを細かく分析していくと、かぜ薬を購入する人は大きく以下の2タイプに分類できることがわかりました。
・「家に置いておくと安心」と思い常備薬としてかぜ薬を買ってくださる方
・かぜをひいてしまった後にドラッグストアに駆け込まれる方
この2つではベンチマークにすべき商品も異なりますし、訴求の手段も変わってきます。市場全体を大きく捉えるのではなく、消費者起点で考えることで新たな視点を得ることができました。
2つ目は、社会情勢に合わせて消費者のニーズの変化をリアルタイムに捉えられるようになったことです。Eagle Eyeを導入したのはちょうど2020年で、コロナ禍がはじまったタイミングでした。コロナ前はかぜ薬に求められるニーズはほとんど変わりませんでしたが、コロナ禍に入ってからは数ヶ月ごとにニーズが変わるという状況が続きました。
まだコロナの詳細が明らかになっていない初期段階では、少しのかぜ症状でも不安になるため常備系のかぜ薬が好調になり、政府が軽症者の自宅療養を推奨するようになってからは、「のどの痛み」「発熱」といった具体的な症状に対処するかぜ薬が好調になる、といった具合です。この変化にいち早く気づけたのもEagle Eyeのおかげです。コロナ禍という特異な状況だったこともあり、非常に印象に残っています。
お客様理解が深まるだけでなく、営業担当の意識にも変化
―日々の業務においてどのようなシーンでEagle Eyeを活用いただいていますか?
寺田様: 最も活用しているのはマーケティング戦略におけるお客様理解の解像度を上げる場面です。それに加えて営業の商談でも活用しています。今はドラッグストア様も各社のID-POSを活用されていますので、我々メーカーの営業もしっかりデータを把握しておくことが必須です。また、どの世代、どのターゲットに向けた商品を開発するか、ものづくりの領域にもデータを活用しています。
―データを活用することで営業担当の方の意識にも変化がありましたか?
寺田様: そうですね。はじめはデータドリブンな考え方が浸透するようこちらから働きかけていましたが、いまでは営業から「こういうデータがほしい」と積極的に要望をもらえるようになりました。データの価値を共有して、ひとつの武器にしてくれている。その意識変化がとても心強いです。
Eagle Eyeのデータを活用した「ジキニンファーストネオ」の商品開発と検証
―商品開発にもEagle Eyeを活用いただいているのですね。
寺田様: はい。2022年に発売した「ジキニンファーストネオ」は、Eagle Eyeのデータを活用しながら開発した商品です。弊社の代表商品である「ジキニン」は1958年から続くロングセラーブランドです。長く愛されるブランドであるがゆえ、購買層も50代以降が中心となっていました。
ジキニンブランドを次世代に広めていくためも、若~中年層向けの新製品の開発をすすめることになり、ターゲットの人物像やニーズを知るためID-POSをはじめとしたデータ分析を行いました。
Eagle Eyeを使って分析を進めたところ、若~中年層のかぜ薬の買い方は、常備薬として家に置いておくより、症状が出てから購入する傾向が高いことがわかりました。こういったニーズから「のどの痛みに効く」処方を採用し、パッケージもターゲットに刺さるデザインは何なのかを議論してきました。
―発売されてからの反響はいかがでしたか?
寺田様: 実は初年度は期待していた反応が得られず、その原因を分析すると、パッケージに書かれた文言に要因があることがわかってきました。当初はいちばん目立つ文字として「かぜのひきはじめに速攻※」というコピーがデザインされていました。
※かぜの気になる症状に早く対処すること
先ほどコロナ禍のかぜ薬のトレンドについてお話ししましたが、発売したのが2022年9月。その前月に政府による軽症者の自宅療養推奨が発表され、症状に特化したかぜ薬が求められるようになっていきました。開発段階では「少しのかぜ症状でも不安」という時期だったため、タイムラグが生まれてしまったんですね。
そこにいち早く気づけたのも、営業担当の現場の声とEagle Eyeのデータを始めとした購買データ分析のおかげです。パッケージ変更はすぐにはできませんが、「のどの痛みに効く」ことをアピールしたヘッダーを付けるなどの対策を行ったことで翌年度には売り上げを3倍以上に伸ばすことができました。
↑パッケージに「のど痛い?」と書かれたヘッダーを付けることで迅速に対応した。
また、2025年から「のどの痛みに効く」ことを訴求したデザインに変更しています。こういった臨機応変な対応ができたのも、データドリブンに考えることが社内に定着していたからだと思っています。説得力のあるデータを示すことで、社内の合意形成もスムーズに進みました。
↑現在のパッケージには「かぜののどの痛みに」というコピーが採用されている。
↑「ジキニンファーストネオ」の購入指数(%)※。女性30〜50代の指数が高く、若年層へのシフトという狙いを達成している。
※購入指数とは「取扱店来店者の年代構成比」を基準とした際、その商品の「購入者の年代構成比」と比較しどれほど高いかを測る指標です。100%を超える年代はその年代に購入されやすいといえます。
ものづくりのためだけでなく、業界全体を盛りあげるためEagle Eyeを活用したい
―商品開発や発売後の検証など、さまざまなシーンでご活用いただいていますが、今後どのようにEagle Eyeを活用していきたいですか?
寺田様: メディアが多様化し、情報があふれるいま、広告領域でお客様に認知していただくことが難しい時代になっています。いかに店頭を起点にブランド認知を獲得し、手に取ってもらえるようにするか、基本に立ち返って向き合わなければならない課題です。
そのためには店頭の情報をしっかり把握しなくてはいけませんし、我々の製品だけでなく、小売店様全体の売り上げを底上げするような施策を提案することで、業界を盛りあげることも必要です。
そこで重要になってくるのが、ID-POS含めた店頭のデータです。Eagle Eyeを使い、他カテゴリまで含んだ分析を高い精度で行うことで、かぜ薬を中心としたクロスセルの売り場展開など、プラスアルファの提案も行っていきたいと思っています。
我々はものづくりのメーカーですので、消費者の悩みに対応できるよい製品を生み出すことが第一です。データ活用をすることで、小売店様と一緒に盛りあげて、よい売り場環境を生み出すことが、結果的に生活者の満足度をあげることにつながると信じています。
◆掲載内容は取材当時のものです。