4月24日、山口県の周南公立大学の講義に、当社代表取締役社長 米倉裕之、上席執行役員 越尾由紀、データアナリスト 野村幸志郎がオンライン登壇しました。当社の3名は「超大規模マーケティングデータプラットフォームでのデータ活用」と題し、実社会におけるデータ活用について解説しました。今回のブログでは当日の様子をレポートします。
この講義には、本年4月に開設された情報科学部の新入生約100名が参加しました。矢島安敏教授は、「さまざまな分野で注目されているAI活用には、膨大なデータをAIに学習させる必要があり、ビッグデータの重要性は今まで以上に増しています。今日はビッグデータを扱っているTrue Dataの方に、実社会でデータはどのように活用されているのか実例をレクチャーしてもらいます。」と、この授業の目的を語りました。
グローバルからローカルへ流れが変化
最初に登壇した米倉は
「日本のように成熟した先進国が経済成長するためには、これまでのようなグローバル型だけでなく、ローカル型企業の発展が必要です。しかし、ローカル型企業の課題は生産性が低いこと。つまり生産性が向上すれば成長ポテンシャルが大きい。そして、生産性の向上はデータやテクノロジーを活用するDX(デジタルトランスフォーメーション)が得意な領域ですから、DXによるローカル経済活性化が期待されています。また、地域でデータを使える人材ニーズも高まっており、データ人材を育成する教育機関の重要性も増しています。当社は政府がウェブで公開する『地域経済分析システム(RESAS)』へのデータ提供や、全国の教育機関におけるデータマーケティング教育支援など、データ・テクノロジー・ノウハウを活かした地域の取り組みを支援し、地域の特色を活かした皆さまの活躍に貢献したいと考えています。」と語り、ローカル型企業の発展のためや、教育機関と行っている当社の取り組み、当社のビジネスモデルを紹介しました。
今、企業が感じている課題
続いて登壇した越尾は
「2020年以降、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに生活者のライフスタイルが変わり、小売業やメーカー企業は売上減少に悩んでいます。新しい顧客を呼び込む ⇒ 商品を買ってもらう ⇒ ファンになってもらう ⇒ リピートしてもらう ⇒ 推奨してもらう ――この循環を作ることが売上アップには欠かせません。そのためには、ビッグデータを活用したマーケティングが有効なのです。」
「顧客とのエンゲージメントが今まで以上に重要になっているなか、ID-POS(顧客ID付きのデータ)を活用することで、顧客を理解することが可能になります。また、食品ロスなどの企業課題や、社会課題、地域課題の解決にもビックデータの活用は広まっています。」と、説明しました。
購買データの活用に必要な準備
最後に登壇した野村は、購買データを活用する際に欠かせない工程を説明するとともに、データ活用の具体例を紹介しました。
購買データを分析する際に問題となるのは、小売業によってデータに登録している商品名や、商品を分類している階層が異なることです。登録ルールがバラバラの状態では、購買データを活用することは難しくなります。商品名、分類階層を統一したルールのもとで揃えるなどの下準備が購買データを活用するためには非常に重要です。
メーカー企業のデータ活用例
メーカー企業は、ドラッグストアやスーパーマーケットなどの店舗に自社商品を置いてもらうために、小売業に対して提案を行う必要があります。購買データを分析することで、商品の売上規模や、競合商品との比較、商品を購入している人の性別・年代、リピートして購入されているかなど、様々な分析指標から顧客を理解することができます。データ活用により、根拠を持った提案が可能になるのです。
小売業のデータ活用例
小売業が自社店舗の売り上げをあげるためには、①既存顧客の購入金額を増やす、もしくは、②新規顧客を増やす、この二つに大きくわけられます。達成するために必要なコストは①を1とすると、②は5、つまり②は①と比べ5倍のコストがかかります。そのため、①の既存顧客に向けたアプローチがとても重要になります。
そこで、購入金額や、性別、年代、どのようなカテゴリの商品を購入しているか、購入時間などから、顧客をタイプ別にグループ分けして、購買を分析していきます。グループを作る際には生成AIにデータを読み込ませたタイプをもとに、人間の目も駆使してデータを読み込みます。顧客をグループ分けすることにより、特性・嗜好を深く理解できるようになります。顧客タイプごとの特徴をつかめば、各顧客に対して有効なアプローチを実現することができます。例えばクーポンを配布する際に、顧客タイプごとに興味がありそうな商品カテゴリのクーポンを配布することが可能になり、顧客一人当たりの購入金額UPにつなげることができます。
学生の皆さんへのメッセージ
最後に越尾は
「データは様々なところから取得が可能になっていますが、データはあくまでも材料です。どんな種類のデータをどう使って、どんな料理を作るのかは人間が考えることです。
データは『過去』と思われがちですが、過去のものを活用して未来を創っていくことができます。皆さんひとりひとりが、データと知恵でこれからの未来をつくる担い手になって欲しいと考えています。」と学生の皆さんにエールを送りました。
授業終了後にはメールで複数の質問をいただき、学生の皆さんの熱意と課題解決意識の高さを感じました。
参加された学生の皆さん、ありがとうございました。