【登壇レポート】 内閣官房「データ分析セミナー」に登壇!コロナ後の観光DXに向けたデータ活用策とは?

 2022年5月25日(水)、内閣官房が主催する「データ分析セミナー」に、当社社長の米倉裕之と執行役員の越尾由紀が登壇しました。このセミナーは、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局が、地域におけるデータ利活用の促進を目的として、定期的に開催しているものです。

 当社のテーマは「地域の観光DX推進に向けた消費者購買データの活用策」。新型コロナウイルスの影響で、大きな打撃を受けた観光産業の復活のために欠かせないデータマーケティングについてお話しました。今回のブログでは、この講演のあらすじをご紹介します。最後に本セミナーの動画が公開されている内閣官房のサイトをご紹介していますので、テーマにご興味のある方はぜひ動画で全編をご覧ください。

【目次】
1.観光DXの基本コンセプト
2.デジタル活用に必要なこと (データとAI + フレームワーク)
3.地域における観光DX(事例)
4.RESASでも可視化ができる
5.デスティネーションマーケティングについての考察

1.観光DXの基本コンセプト
 地域の観光を活性化するためには、新しい観光客を呼び込んでその人たちにリピートしてもらい、さらには、自宅に帰った後も地域産品を購入したり発信したりしてくれる「ファン」になってもらうループが重要です。この流れを効率的に実現するために、データやテクノロジーを手段として使う、ということが観光DXの基本的な考え方です。

 地域と観光客をつなぐ手段をデジタルが担うようになると多くのデータが取れるようになります。来訪者のニーズや価値観を様々なデータで把握して掘り起こすことで、より低いコストで高い効果を生み出す施策の実現が可能になります。

2.デジタル活用に必要なこと (データとAI + フレームワーク)
 もっとも重要なことは、「その人はどういう人なのか」、つまりターゲット像を明らかにすることです。これにより、「その人」のニーズは何なのか、そのニーズに応えるサービスは何なのか・・・といったことが見えてきます。また「その人」の生活スタイルに合わせた販促シーンやタイミングを考えることも可能です。

 これらを検討する時、「5W1H」のフレームワークが有効です。データマーケティングの「5W1H」は、お客様を理解するフェーズと、理解したお客様とどのように接点を作るか、という2つのフェーズに分かれており、下の図の項目を埋めていくことで打ち手が明確になってきます。このフレームワークは、当社がデータマーケティング教育を支援する、高校や専門学校、大学といった教育機関でも活用しているものです。

3.地域における観光DX(事例)
 実際に、地域のある事業者が、コロナ後の観光復活に向けて、データ活用にチャレンジした事例を紹介します。はじめに、当社とナビタイム社のデータを連携し、自動車とフェリーを使って、北海道を旅する本州の観光客像を調査しました。このデータから、事業者の顧客像を可視化し、どのようなコンテンツを、どのような手段で届けるのかを考えて施策を実施しました。さらに結果もデータから見える化し、PDCAを回しています。

 この調査の大きなポイントは、個人情報を使わず、統計データで顧客像を見える化できる点です。

 この事業者では、実際にいくつかの顧客像をデータで可視化しました。その一例をご紹介します。

 上記の図を見ていただくと、この顧客像は、美容意識が高く、限定品が好きという価値観があり、ペット用品、介護用品、育児用品の購入傾向が高い、という買い物の特徴がありました。このように、顧客像を明確にしたうえで、この人たちに響く広告クリエイティブを複数検討し、ABテストを行いました。

 その結果、効率的に広告を打つことができたため、いくつのもデータとテクノロジーを使った取り組みであるにも関わらず、従来よりも低いコストでプロモーションすることに成功しています。

4.RESASでも可視化ができる
 無償で公開されている官民のビッグデータを搭載した「地域経済分析システムRESAS(リーサス)」にも、観光や地域産品の状況を可視化できるデータが数多くあります。
例えば下記は、北海道に本社があるメーカーのバターが、どの地域で消費されているのかを示したグラフです。北海道外での消費が多く、コロナ以降その傾向がより強くなっていることがわかります。

 この他にも、様々な地域の商品がどこの地域で買われているのか、その推移はどう変化しているのか、といったデータを見ることができます。上記は当社がデータ提供するRESASの「消費マップ」に搭載されているデータです。このほかにも、「観光マップ」のデータなどを組み合わせて見ることで、観光客がどこから来ていて、いつ、どのような検索をしていて、どのような商材をどの地域の人にアピールすればよいか、という戦略が明確になります。

 このようにRESASのデータで大枠を把握した上で、さらに民間のデータやアイデアを組み合わせることで、より深く顧客を理解し、効果的な施策を見つけることも可能になります。

5.デスティネーションマーケティングについての考察
 最後に、ひとつの理想的なかたちを表した図をご紹介します。事業者ごとの自助努力だけでなく、地域全体を商品と捉え、力を結集して取り組むことで、地域の経済効果と効率を高め、観光を活性化することができるのではないでしょうか。

 True Dataは、地域事業者が自立して持続的に成長していけるかたちが理想であると考えています。当社はこれからも自治体や地域事業者、教育機関などと連携し、データとAIを活用したマーケティングやデータ活用人材の育成を通して、地域の観光DXを支援してまいります。

▼内閣官房 データ分析セミナーの全編動画はこちらから
https://www.chisou.go.jp/sousei/resas/dataseminar.html#seminar21th

・プレゼンテーション編(YouTube)
https://youtu.be/td3eX62mwss
・質疑応答編(YouTube)
https://youtu.be/0u7dADXhzfQ
・資料
https://www.chisou.go.jp/sousei/resas/pdf/21_dataseminar_shiryo.pdf

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