秋冬物の典型商品は、今年は苦戦に注意

そろそろ今年の秋冬物商戦の時期ですね。気象庁など気象機関が長期予報を発表する際、参考にしている根拠の1つにエルニーニョ現象・ラニーニャ現象の発生状況があります。これらは南米ペルー沖の海水温が平年と比べて高くなる(エルニーニョ現象)現象及び低くなる現象(ラニーニャ現象)のことを指します。詳しいメカニズムは気象庁のホームページをご覧ください。ひと言でいうと、エルニーニョ現象とは、1年の中での季節変化による気温上下の波を弱める効果があり、ラニーニャ現象は同じく気温上下の波を増幅させる効果があるとされています。つまり、エルニーニョ現象が発生すると日本付近では冬は暖冬、夏は冷夏の可能性が高まり、ラニーニャ現象が発生すると冬は寒冬、夏は暑夏の可能性が高まります。ただ、日本列島でもこの相関関係が高い地域・季節と、低い地域・季節があるため、一概に全国で言える話ではありません。

さて、気象庁は毎月10日頃、ペルー沖の海水温の実況と今後の予想をまとめた「エルニーニョ監視速報」というものを発表しています。最新の8月10日発表の情報によると、10月以降、エルニーニョ現象が発生する確率が60%、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生しない確率が40%と予想されています。つまり、現在ペルー沖海水温はほぼ平年並みでも、どちらかというとエルニーニョ現象の方向に向かっているのです。

ちなみに1年前の状況はどうだったでしょうか。2017年8月頃もペルー沖の海水温は平年並みで、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していませんでした。しかしながら昨年はラニーニャ現象の方向に向かっており、実際に秋以降(2018年春にかけて)ラニーニャ現象が発生しました。つまり、今年は昨年と真逆の状況になるシナリオです。こうした状況を鑑み、エルニーニョ現象、ラニーニャ現象の発生と日本付近の天候の関係を考慮すると、今年は昨年秋から冬の天候推移とは逆の状況になる可能性が高いと想定することができます。

昨年(2017年)は11月上旬に一時的な高温の時期がありましたが、それ以外は秋から冬にかけて気温が平年並みか低めでした。秋冬物商戦にとっては大いにプラスに働いたことでしょう。その逆というと、今年は暖秋、暖冬の可能性が懸念されます。

では、今年の秋から冬はどのような消費が見込まれるでしょうか。弊社データから「おでん」の項目を抽出したのが別図1です。期間は2016年8月からの2年間です。具体的には関東地方のスーパーマーケットのパネルから、週別の買物指数※(点数)を示しています。併せて同期間の、気象観測点「東京」における週平均最高気温も示しました。時系列図では、売上の季節変動をおおまかに捉えることができます。気温との関係をみた場合でも、買物指数と気温が逆相関的傾向にあることがわかります。

※「買物指数」はお客様(来店者数)100万人あたりの売上高や売上点数をあらわす当社の独自指標です。

時系列図に加えて横軸に気温、縦軸に買物指数とする散布図を描くことで、気温や季節との関係性がより明確にすることができます。それが図2です。

購買データ出典:True Data/対象:スーパーマーケット

プロットは、いびつな円を描くような形になっていますが、全体的には右肩下がりの傾向となっています。すなわち、気温が高ければ買物指数は小さく、気温が低ければ買物指数が大きくなる傾向が表れています。円を描く動きは、シーズンピーク(11月頃)に向かう期間と、それ以外の期間とでは、同じ温度でも消費者の反応が異なることを示しています。参考までに月別にプロットが図中のどの部分にまとまっているか、目安を9月から1月にかけて示しました。9月は最高気温が25℃以上であっても、1月並みの買物指数になることがわかります。

さて、今年の秋から冬の消費動向を考えた場合、暖秋・暖冬となればおでんに代表されるような秋冬物季節メニューは、昨年と同じような売り方では苦戦が強いられることが予想されます。散布図からは、気温が1℃高いと買物指数は500程度低くなることが読み取れます。

では、今年はどのような対策を講じれば良いでしょうか。おでん以外のメニューの展開比率を高めるのも一案でしょう。気温が高めの秋から冬に売れる商品を是非見つけ出してみてください。また同じおでんでも、意識して具材や味付けに変化を持たせると販売の底上げが期待できます。どのように変化を持たせるか?詳しくは弊社の担当営業に是非ご相談ください!皆様の課題解決のお手伝いをさせていただきます。