気象×購買データ分析 「分岐点温度」に基づく意思決定ガイド【第2回】

気象データと購買(ID-POS)データを掛け合わせて分析を始めようとする際、どういう手順で進めますか?今回と次回は、精度の高い意思決定につなげるために重要な着眼点を順に解説していきます。

着眼点1:まずは時系列グラフで確認する

分析を行うにあたり、シンプルかつ重要なプロセスはまず、売上と気温のデータを単純に時系列グラフで重ねて示すことです。目的は大きく以下の2点です。

  • 大局的な傾向把握:売上の季節性や気温との相関関係の有無を直感的に掴む
  • 異常値の把握:特売や天候不順などによる突発的な売上異常値を見抜く

着眼点2:季節商品か通年商品か

データを時系列で確認した後、相関分析を行うのが一般的な流れかと思います。ここで重要な着眼点があります。その商品の売上が季節によって大きく上下するもの(季節商品)か、年間を通して売場に展開されている商品(通年商品)かです。通年商品であれば比較的高い精度で需要予測モデルに活用できますが、季節商品は時期によって売場面積(陳列量)が変化するなど、気象要因以外のノイズが大きく混ざるため、需要予測モデルに活用する場合は細心の注意が必要です。

イメージ:通年商品(左)と季節商品(右)の、気温との関係性を示した散布図例

着眼点3:最高気温か、最低気温か

気温といっても、最高気温・最低気温・平均気温など様々な指標があります。その商品の需要スイッチを入れる分岐点温度として、どの気温を特定すべきでしょうか。ここでポイントとなるのが、人々の季節の進みの感じ方です。

  • 最高気温に着目すべき商品(春夏物)

  コールド飲料、アイス、制汗防臭剤、UVケア用品など

  • 最低気温に着目すべき商品(秋冬物)

  ホット飲料、鍋つゆ、入浴剤、使い捨てカイロなど

※なお、分析上で平均気温を用いるアプローチもありますが、昼夜の寒暖差による需要変化を見落とすリスクがあること、また天気予報では平均気温の予測値が出ないため、需要予測の実務に展開する際は、最高気温か最低気温に置き換えて考える必要がある点に留意しておきましょう。

着眼点4:気温の前日差と体感温度

日々の気温データから最高・最低気温を読み取る際、思わぬ落とし穴が潜んでいることがあります。それが気温の前日差です。例えば同じ気温「25℃」でも、前日が15℃だった場合(前日差+10℃)と、前日が35℃だった場合(前日差-10℃)では感じ方が全く異なります。

さらに、夏に向けて気温が上昇していく過程での25℃と、冬に向けて気温が下降していく過程での25℃でも感じ方が異なります。それを加味した指標が体感温度です。

意思決定への応用:データから判断ルールを作る

ここまでの着眼点を、現場の意思決定ルールへと落とし込みます。

まとめ:今回の着眼点チェクリスト

  1. まずは時系列グラフで重ねて大局を掴む
  2. 「通年商品」か「季節商品」か、で分析のアプローチを分ける
  3. 春夏物は「最高気温」、秋冬物は「最低気温」をトリガーにする
  4. 前日差(1/2ルール)から体感温度を算出し、売り場変更のタイミングを微調整する

次回(第3回)は、着眼点の後編として、気象データをより深く活用する方法や、購買(ID-POS)データの具体的な処理・加工方法について詳しく解説します。

〇True Dataの消費財メーカー向けソリューションはこちら             https://www.truedata.co.jp/service/manufacturer/  

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〇「常盤勝美のお天気マーケティングブログ」過去記事はこちら  https://www.truedata.co.jp/blog/category/weather_marketing

〇「気象×購買データ分析 「分岐点温度」に基づく意思決定ガイド」バックナンバー                第一回 「気象データにおける平年値と実績値の特性を把握し、納得感をもって業務を進める」

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株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー。