米国と日本のクラフトビール事情

世界的な調査会社のニールセンが2018年1月、米国におけるクラフトビール市場に関するレポートを発表しました。

米国市場クラフトビールトップ40ブランドにおける2桁成長

レポートによると、米国のビール業界は業績が低下している一方、クラフトビール(小規模醸造のビール)は成長しており、上位40の醸造業者は成長率が2桁に達しています。この40ブランドのうち12ブランドは大手醸造会社が所有しているもので、その流通網を活用して独立醸造業者より早いペースで流通を拡大しています。日本でも「大手メーカーがクラフトビールに参入」という報道を目にするようになりましたが、市場動向は実際どうなのでしょうか?

日本でもビール類苦戦、13年連続で過去最低を更新

米国同様、日本でもビール類の業績は低下しています。ビール大手5社の発表によると、2017年のビール類国内総出荷量は13年連続で過去最低を更新。ビール、発泡酒、新ジャンルのすべてが前年実績を下回る結果となりました。昨年6月のいわゆる「安売り規制」の影響や、若者のビール離れなどさまざまな要因が報じられています。この流れを食い止めるために、日本でも、キリンビールが2014年にヤッホーブルーイングと資本業務提携を結んだり、自社でクラフトビールを製造するなど、米国と同様、ビール大手がクラフトビールに力を入れ始めています。画一的でない味わいや個性的なパッケージのクラフトビールは、ビール離れと言われる若い世代に支持されているのでしょうか?

「クラフトビール」は誰が買う?

True Dataのビールランキング100位にランクインしているクラフトビールから3つの商品の購入者の年齢層を見てみました。

■ヤッホーブルーイング よなよなエール 350ml

■サントリー 東京クラフト ペールエール 350ml

■グランドキリン IPA 瓶 330ml

データ出典:True Data
(対象:スーパーマーケット/期間:2016年02月01日〜2018年01月31日)

「若い」支持者増加でシェアは米国に近づくか

それぞれのグラフの上段が調査商品で、下段はビールカテゴリ全体の年齢層です。ヤッホーブルーイングの「よなよなエール」は、ビール全体と比べて20代~40代の購入者が多く、サントリー「東京クラフト ペールエール 350ml」とキリン「グランドキリン IPA 瓶 330ml」は20代~50代がビール全体と比べて多い結果となりました。いずれも、ビール購入者の平均年齢より若い層に支持されています。縮小が止まらないビール市場の“希望”であることは間違いなさそうです。

クラフトビール先進国の米国では、クラフトビールが生産量で1割以上のシェアを持っている一方、日本ではわずか1%と言われています。多彩な味わいのクラフトビールにはまだまだ成長の余地があるかもしれません。日本でも大手が参入したクラフトビールの個性的な魅力でビール離れを食い止めることができるのか、今後の動向が注目されています。
(True Data M.N.)