日米のアイスクリーム需要の高まりと購買ニーズの変化

2018年7月、世界的データホルダーのニールセンが同社のブログサイト「インサイト」に掲載した面白い記事を紹介します。

冷たい「お楽しみ」が7月の猛暑を吹き飛ばす

レポートによると、アイスクリームカテゴリーの販売額は6月末時点で前年比2.2%増の62億ドルにも達しました。「全国アイスクリームの月」である7月は更に売上が増大しており、独立記念日である7月4日(祝日)も記録的な暑さの中、涼を求めるショッパーによってアイスクリームの販売は増加したとのことです。

映画やコストコで売っているアイスクリームの大きさにもビックリしますが、やはり米国においてアイスの需要は相当高いようです。アメリカ人は、アイスクリームが大好物なのですね。

日本も負けていない!高まるアイス需要

日本でも7月は記録的な猛暑が続き、アイスの需要が高まりました。下のグラフをご覧ください。7月が最大値で、前年比も一番高くなっています。その他の月も直近1年、5月以外すべての月で前年の売り上げを上回っており、年間を通してアイス市場が伸びていることがわかります。

購買データ出典:Dolphin Eye/対象:スーパーマーケット

アイスのカテゴリは、乳脂肪分の高いプレミアムアイス、箱入りなどのファミリーアイス、その他単品のパーソナルアイスの3つに分かれています。それぞれのカテゴリが1月と比べて夏場にどれくらい伸びるのか見てみましょう。

カテゴリ別ではいずれのアイスも伸長していますが、最需要期はファミリーアイスが一番伸びており、気温の上昇とともに、家庭での備蓄需要が発生しているのが分かります。しかしながらプレミアムアイスは春先からさほど売上が伸びていません。アイス全体の中で、プレミアムアイスは冬場から春先にかけて構成比が高くなっています。

脱デフレの見本!?アイスはプレミアム嗜好で成功した模範商品

近年、コンビニエンスストアで中~高単価のアイスをよく見かけるようになりました。プレミアムアイスのPBに力を入れる小売業も増えています。ハーゲンダッツの限定品が売り切れとなったニュースや、デコるアイスがSNSで紹介されるなど、話題は尽きません。プレミアムアイスを購入しているのは、どの世代なのでしょうか。スーパーマーケットの購買データで、購入者の年齢層を見てみましょう。

20代は、通常の単品アイス(パーソナルアイスその他)と比べ、プレミアムアイスでの構成比が高くなっています。いつでも若い世代がブームを作りだすものですが、意外なことにスーパーで最もプレミアムアイスを購入しているのは50代でした。

筆者(男40代)の個人的感想で言えば、プレミアムアイスは暖房や下着の進化により、冬場のオフィス内で体温調整が難しくなっている事や、そもそも美味しいという事実がこの市場を作っていると感じます。

男女を問わず、ビール以上にプレミアム嗜好の顧客の購買を取り込んだアイスは、『子供のおやつ』と言うポジションから、『大人のデザート』に変化・成長したと言えるのではないでしょうか。

この先のアイス市場を賑わす商品はどのようなものが出てくるのでしょうか?ニールセンレポートによると、米国では「乳製品不使用のアイス」が成長著しいとのことです。日本でも糖質を抑えたアイスなどがありますが、近い将来、飲料のようにトクホや機能性表示食品のアイスがスーパーに登場するかもしれませんね。

(True Data マツ)