コロナウィルス感染症拡大防止のため、政府から休校が要請されて約3週間。文科省によると3月4日時点では公立小中学校の99%が臨時休校しているそうです。ネット上には、突然休校になった子どもを抱える親たちの切実な声があふれています。この期間、企業ではリモートワークが進み、人が集まる多くのイベントが中止もしくはオンライン化されました。外に出かけなくなったことで、人びとの消費はどのように変わったのでしょうか。コロナに揺れたこの2か月を、全国スーパーマーケットの統計データで見てみましょう。
意外な商品の購入回数がアップ
買い置きできるカテゴリや短時間で調理できるカテゴリが多く含まれる「加工食品」(調味料や冷凍食品、麺類などを含む)は、2月の売上が前年同月比7%増加しています。そこで、この2月に全国のスーパーマーケットで購入回数が伸びた「加工食品」を調べてみました。1店舗あたり、そのカテゴリの商品が2月に何回購入されたかを前年同月と比較したものです。2020年はうるう年のため1日多いのですが、日数増加分を調整しても上位30位は5%以上上昇しているカテゴリです。
2位の「米飯加工品」は主にパック入りのご飯、3位の「調理済カレー」はいわゆるレトルトカレーです。近頃のレトルトカレーは火を使わず電子レンジで調理できるものもあるため、子どもだけでランチの用意をする日には安心です。4位には子どもが好きなマヨネーズも入っており、お父さんお母さんの「野菜も食べて欲しい」という思いがあらわれているのではないでしょうか。
気になる1位は、前年と比べて約4割も購入が伸びた「デザートの素」でした。
このカテゴリには、水を加えるだけで作ることができるゼリーや、牛乳を入れて作るデザートの素などが含まれています。火や包丁を使わないため、子どもだけでも安全に、楽しくデザートづくりができるため購入されているのではないでしょうか。文部科学省によると、この休校期間を、「一か月間、『生活を学ぶ』『暮らしを楽しむ』チャンス」と呼び掛けている小学校もあるそうです。
ぐんぐん伸びる、納豆・冷凍パスタ・カレー
2月の購入回数伸び率ランキング上位30カテゴリの購買はどのように変化していったのか、1店舗あたりの購入個数を、週ごとの積み上げグラフで見てみましょう。
納豆がダントツの売上個数を示しています。3月8日(日)までの集計では1店舗あたりの購入個数が20,000個を超えました。日本で初めて感染者が確認されたのが1月16日。以降、もともと購入個数の多い納豆がさらに売り上げを伸ばしている様子がわかります。免疫力アップに効果が期待できる発酵食品としてさらに購買が伸びたのでしょうか。ネット上には、専門家が「科学的根拠はない」と指摘する情報が出回っているとの報道もあるため、冷静に行動する必要がありそうです。2位は冷凍麺(冷凍パスタ・うどん等)、3位は調理済みカレー(レトルトカレー)と簡単に食べられる食品が続きます。上位3カテゴリの購入者年齢層をあらわしたグラフをID-POS分析ツールの「Dolphin Eye」で見てみました。
納豆の購入者(グラフ茶色)は70代女性がもっとも多く、冷凍麺(グラフ紫)は50代の女性がもっとも多い構成です。調理済みカレー(グラフ水色)も50代女性がもっとも多いですが、50代・60代・70代の差はわずかで、ほかのカテゴリと比べて男性購入者も多いことがわかります。レトルトカレーは在宅勤務時のランチに重宝しているのかもしれませんね。学校はやがて再開されますが、企業はこれを機に働き方が大きく変わり、リモートワークが通常運転となることも考えられます。「簡単に自宅で食べられるランチ」の需要は、今後ますます増えていくのではないでしょうか。