気象&購買データから見た“外出自粛”の影響
~UVケア用品への影響を流通気象コンサルタントが分析!~


新型コロナウイルス感染拡大の影響で、マスクやトイレットペーパーなどが、例年のこの時期とは大きく異なった購買傾向を示しているのは、マスコミ報道でご承知のとおりです。売場で商品が品切れしている映像ばかりをよく目にしますが、一方で外出自粛のあおりを受けてか、例年よりも購入数が大きく減った商品もあります。例えばUVケア用品です。本来UVケア用品は季節(気象条件)との関係が強く、季節の進みとともに気温が上昇していく2~4月頃にかけて売上を大きく伸ばす商品ですが、今年は気象だけでは説明できない購買動向となりました。そこで、UVケア用品の購入数の例年との違いから、外出自粛の影響をどの程度受けたと考えられるのか、調べてみました。

UVケア用品の購入数と気象条件との関係

まず、UVケア用品の購買動向と気象条件の関係性を確認します。図1は2018~2019年のUVケア用品の購入数と、気象観測点東京の最高気温の時系列です。曜日による客数変動の影響を除去するため、それぞれの値は7日間移動平均値で示しています。UVケア用品の購入数には明確な季節性があり、気温変動の波と似ていることが分かります。特に、2月頃から7月頃にかけてはその関係性が強いことがうかがえます。おおむね8月中旬以降は、気温上下に関わらず季節の進みに伴って購入数が一気に減少しています。


図1 UVケア用品の購入指数と東京の最高気温

※購入指数:当社の購買行動分析ツール「Eagle Eye」(ドラッグストア版)から、エリア:首都圏を選定して集計した日別購入数データの、2018~2019年の2年間の平均値を100としたときの割合(以下同様)。

同様に2018~2019年のUVケア用品の購入数と、気象観測点東京の日照時間をそれぞれ時系列で並べたものが図2です。日照時間は7日間移動平均せず、日々の観測データとしています。
日照時間は太陽高度と連動しますので、夏に多く冬に少ないという周期性の波があります。UVケア用品の購入数と日照時間、一見関係性はそれほど強くないように感じるかもしれませんが、細かく見てみると、日照時間と連動して購入数が上下している時期があります。それが、購入数の多い夏場です。この図の例では、2018年の6月中頃と2019年の6月末から7月にかけて、購入数と日照時間が同時に落ち込むことがあるのが分かります。 これは主に梅雨期間中であり、曇や雨の天気が続くためにUVケア用品の消費速度が遅くなることが要因と考えられます。冬場はそもそも購入数が少ないため、日照時間の影響は不明瞭です。


図2 UVケア用品の購入指数と日照時間

以上の結果をまとめると、UVケア用品は2~7月にかけて気温の影響を強く受け、また梅雨時は日照時間が少なくなるのに合わせて購入数も減少することがあるのが分かりました。

気象条件×購買データで、UVケア用品の販売動向を推測

気象条件との関係性が強い時期と弱い時期があるため、年間を通して気象条件のみから購買動向を予測することは困難ですが、特に関係性が強い時期に絞れば、比較的高い精度で購入数を予測することが可能です。
今回は新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、緊急事態宣言発表による外出自粛等に至った時期に絞って実際の購買動向を分析するので、2~4月の期間に区切って購入数を予測することにしました。この期間なら前述のように、気象条件との関係性が非常に強く、購入数を精度高く予測することができます。


図3 2~4月における日別の UVケア用品の購入指数と最高気温の関係(2018~2019年)

需要予測のモデル式を作るために、横軸に最高気温、縦軸に購入指数として、両者の関係を散布図で示したものが図3です。気温が上がれば上がるほど購入数が多くなるという、比較的シンプルな比例関係があり、しかもプロットのばらつきが小さいことが見て取れます。つまり、この需要予測のモデルを使うことで、最高気温から高い精度で購入指数を推定できるということになります。
この図では、2018年(緑色)と2019年(赤色)とで、プロットに大きな違いはなく、他の年であってもほぼ同様の傾向となることが期待されます。


図4 2~4月におけるUVケア用品の購入指数と最高気温の関係(2018~2020年)

2020年GW前、気温による予測値より6割減

需要予測のモデル式に2020年のデータを当てはめ、実際の購入実績との関係を照らし合わせてみました(図4)。
2020年(紫色)のプロットを見ていただければ分かるとおり、明らかに需要予測のモデル式(図中の破線)から離れています。全体的にプロットが下の方に偏っていて、購入数は2018、2019年のようには増えていません。
この期間、日照時間が平年より大幅に少なければUVケア用品の購入数を大きく押し下げる効果があるかもしれません。念のため東京におけるこの3か月間の日照時間を調べてみました(表1)が、いずれの月も平年を上回っていました。むしろこれはUVケア用品へのニーズは高まりそうな状況です。

表1 2020年2~4月の東京における日照時間平年比

具体例として、2020年4月20日(月)~26日(日)の1週間のデータで今年の購入数の落ち込みを見積もってみました。この期間の最高気温の平均値は18.2℃でした。図3の需要予測のモデル式からこの気温の購入指数は135と試算されますが、実際のデータでは、55でした。以上のことから、外出自粛の影響で、UVケア用品の購入数が通常の4割まで減少したのでないかと考察されます。

6月はじめはUVケア用品の欠品に注意

外出を自粛していた影響で、今年まだUVケア用品を買っていない家庭が結構あるのではないでしょうか。このまま順調に日本全域で緊急事態宣言が解除されれば、6月はいわゆる3密を避けながらも外出する人が多くなるかもしれません。6月というと真っ先に梅雨の天候を思い浮かべがちですが、梅雨入りまでの期間は言い換えれば晴れやすい期間でもあるのです。今年まだUVケア用品を買っていない人がこれからのシーズンに向けて、このタイミングで一気に買い求める可能性があります。需要の大きな伸びを期待しつつも、店頭での欠品には注意したいところです。