鍋物料理の種類別、気温との関係

こんにちは。流通気象コンサルタント・気象予報士の常盤勝美です。2021年の10月も後半を過ぎ、一気に寒くなってきましたね。10月上旬、真夏日を記録するような季節外れの残暑だったことがうそのようです。この冷え込みで、今季初の鍋物料理をされた家庭も多いのではないでしょうか。今回はその鍋物料理について、気象との関係を少し深掘りしてみたいと思います。

鍋つゆと気温の関係

まずは、鍋物料理の細かい種類に分けず、鍋つゆ全体の売上と気温の関係を見てみます。

図1 鍋つゆ(業態:スーパーマーケット)の購買指数と最低気温(東京)の関係
(2019年9月30日~2021年9月26日:週次データ)

※抽出データ                                  株式会社True Dataイーグルアイに搭載されている各商品の週次の購買指数(購買指数は週別購入金額の当該期間平均値を1としたときの比率)。商品の抽出条件は、カテゴリ「めんつゆ・ラーメンスープ・鍋つゆ・白だし」に含まれ、商品名に「鍋」または「なべ」の文言が含まれるものと定義した。

気温と売上を時系列で並べたグラフでは、気温変化と鍋つゆの売上がほぼ逆に動いています。そして横軸に最低気温、縦軸に購買指数をとった散布図では、グラフの真ん中付近に穴が開く独特な形の分布になっていて、例えば最低気温20℃の所で縦にグラフを切ってみると、7月の20℃と10月の20℃では購買指数が大きく異なることが分かります。

鍋の種類別、気温との関係グラフ

次に、鍋物料理の種類別、売上と気温の関係を示したグラフ(散布図)を掲載します。グラフの真ん中付近に穴が開いたような、円を描くプロットの形状となっているのはどれも同じですが、細かく見ると少しずつ違いがあるようです。

図2 鍋つゆ(業態:スーパーマーケット)の種類別購買指数と最低気温(東京)の関係
(2019年9月30日~2021年9月26日:週次データ)
<カレー鍋/豆乳鍋/トマト鍋/キムチ鍋/寄せ鍋/もつ鍋/ちゃんこ鍋>

※抽出データ                                  株式会社True Data「イーグルアイ」に搭載されている各商品の週次の購買指数(購買指数は週別購入金額の当該期間平均値を1としたときの比率)。各商品の抽出条件は、カテゴリ「めんつゆ・ラーメンスープ・鍋つゆ・白だし」に含まれ、商品名に<「カレー」または「かれー」><「豆乳」><「トマト」または「とまと」><「きむち」または「キムチ」><「寄せ」または「よせ」><「もつ」または「モツ」><「ちゃんこ」>の文言が含まれるものと定義した。

以降、各鍋つゆの売上と気温の関係グラフから読み取れる特徴的な傾向をピックアップしていきます。

☆もつ鍋の売上ピークは1月                            もつ鍋は他の種類の鍋物料理と少し状況が異なり、散布図の円状の分布がやや扁平になっています。意味するところは、春夏と秋冬との売上差が他の種類に比べて小さい、すなわち他の種類に比べて春夏も購入頻度が多いということです。鍋物料理の一つとしてのもつ鍋というよりは、「モツの煮込み」料理の材料と考えるのが良いのかもしれません。

☆トマト鍋は他の種類よりピークが早い                       トマト鍋の散布図の形を詳しく見ると、最も購買指数が高い週の最低気温はおよそ11℃ですが、最低気温15℃付近にもほぼ同程度の購買指数となっているプロットがあることが分かります。この2つが購買指数における年間の天井となっており、最低気温10℃以下の温度帯では気温低下に伴う売上の減少の割合が他の種類に比べて大きくなっています。言い換えると、他の鍋物料理の種類に比べてピーク時期が早いと見なすことができます。          私が考察するに、トマトの酸味が関係していると思われます。酸味や辛味は、春夏の気温が上昇していく時期に好まれる傾向があります(秋冬は甘味を好む)。そのため、トマト鍋は他の鍋物料理よりも早い時期(気温が高い時期)にピークを迎えると考えられます。

グラフの形から、似たもの同士を分類すると

各種類の鍋物料理と気温の関係グラフを、似た者同士でまとめてみました。私見かつ大雑把ですが、以下の3つに分類できそうです。

①カレー鍋、もつ鍋                               ②トマト鍋、ちゃんこ鍋                               ③豆乳鍋、寄せ鍋、キムチ鍋

上記の解説と一部重複しますが、①は秋冬以外のシーズンでも一定水準の売上があり、プロットの形がやや扁平なもの、②は売上のピークを迎える温度が他に比べて少し高く、売上ピークを迎える時期がやや早いもの、③はそれ以外です。いかがですか。「分かる気がする~」という感じでしょうか。それとも「あまりピンと来ない」でしょうか。

ある1つのカテゴリの商品でも、味付けや主たる具材によって気温との関係性に違いが生じる可能性があることが分かりました。このように分析する商品の単位をブレイクダウンしていくことで、その商品独特の気温との関係性や、他社商品との違いを知るヒントを得ることができ、次への商品開発やより効果的な販促に活かせるのではないでしょうか。

本ブログに対するご意見、ご感想、気象と消費データに関するお問い合わせ等は、お気軽にこちら(https://www.truedata.co.jp/contact)までお寄せください。

株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー、地球温暖化防止コミュニケーター。