衣料用洗剤と気温の深~い関係

こんにちは。True Data流通気象コンサルタント・気象予報士の常盤勝美です。2023年1本目ということで、今年も宜しくお願いします。関東地方南部に住んでいる私ですが、先日(1月中旬)すっきりしない天気が少し続いただけで洗濯物の扱いに困りました。1日中、部屋の中に干していても、冬物は乾きが悪い。でも干すべき洗濯物はいっぱいある…。たかだか3~4日程度すっきりしない天気が続いただけでこんなに困ったのに、この時期雪や雨の降る日が多く、ほとんど日差しのない北日本の日本海側の方々の冬時の洗濯はどれほど大変なのだろうか、と改めて推察した次第です。

さて今回は、お洗濯のために買っている衣料用洗剤です。家の中の在庫が少なくなったら買うという購買スタイルでしょうから、気温と売上の関係はあまりないのかと思いきや、調べると面白いことがわかりました。

衣料用洗剤類の分類について

当社True Dataの分類体系では、日用雑貨の分類の中で、衣料用洗剤類という小分類を設けています。当社サービス「ドルフィンアイ」では以下の8つのカテゴリが属しています。

気温と購入金額の関係

週別の買物指数(金額)と最低気温の週平均の相関係数を求め、表にまとめました(「その他衣料用洗剤類」は、靴用の洗剤やベビー衣料用洗剤など様々な種類の商品が含まれているため、分析対象から除外しました)。相関係数が正(プラス)であれば、気温が上がれば上がるほど買物指数も高くなることを、負(マイナス)であれば、気温が下がれば下がるほど買物指数が高くなることを示します。それぞれ+1と-1が最も強い相関を示し、相関係数が0.5以上または-0.5以下の場合は、はっきりとした相関関係があるとみなして良いでしょう。

表 衣料用洗剤類の分類の中での最低気温との相関係数表
(※1 小数点以下第三位を四捨五入)

おそらく、今日は暖かいからこの洗剤、寒いからこの洗剤というような買い方はしないと思いますが、実際に気温との関係を調べると、強い相関を持つカテゴリもあり、興味深い結果が得られました。

正の相関が最も強かった「漂白剤」は、ワイシャツやタオル類などを洗うのに主に用いられるものです。一方、負の相関が最も強かった「ライト系洗剤」は、いわゆるおしゃれ着洗い用洗剤といわれるもので、セーターやニットなどを洗うのによく用いられる種類かと思います。

つまり夏物衣料に主に用いられる洗剤に気温と正の相関が見られ、冬物衣料に主に用いられる洗剤に気温と負の相関が見られるというように、はっきりと関係性が分かれるようです。

衣料用洗剤類の、気温MDグラフ!

衣料用洗剤類の分類について、気温と購買金額の関係性を、相関係数の値から図にまとめました。

年間を通して使われる衣料用の洗剤類は気象条件の影響を受けにくいと考えられがちですが、気温(すなわち季節)との間には興味深い関係があることがわかりました。季節による売場の陳列規模の拡縮などにお役立てください。

※抽出データ                                   株式会社True 株式会社True Data「ドルフィンアイ」に搭載されている、「衣料用洗剤類」分類(業態:ドラッグストア)に属する各カテゴリの、週次(期間:2020年8月31日~2022年8月28日、データ抽出日:2022年9月9日)の買物指数(買物指数は来店者100万人における購入金額)。

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株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー。