秋の気配に反応しやすいカテゴリーは?

こんにちは。流通気象コンサルタントの常盤です。全国的に雨が多く、日照時間の少ない7月となっています。関東甲信地方では梅雨明けの平年日が7月21日、梅雨明けが待ち遠しいところですね。

7月下旬から8月上旬は、1年の中でも最も気温の高い時期です。それを過ぎると今度は1月下旬に向けて気温が下がっていきます。この気温トレンドの変化を敏感に察知して、人は秋に向けた季節の進みを実感するようになります。それまでは暑さに備える、あるいは暑さに耐えるためのからだの機能だったものが、気温がダウントレンドとなる8月中旬以降は寒さに備える、あるいは寒さに耐えるためのからだの機能が中心となります。具体的にはからだを温める、すなわち体温の低下を阻止しようとする無意識的な欲求が徐々に高まっていきます。必然的にその欲求を満たすために欲しくなるものは、夏に向けて気温が上昇していく時期とは異なります。この気温トレンドの変化は、一般消費においてもニーズの大きな変化が生じるきっかけとなります。

今回はドラッグストア(全国データ)でのボディケア化粧品の分類を例に、夏から秋へ季節が移り替わるタイミングで各カテゴリーの購買動向にどのような反応があるのか、昨年2019年の実際の気候推移に基づいて調べてみました。

2019年8月の気温推移

図1は、2019年の東京における週平均気温推移です。日最高気温の週平均値は8月5日の週に(35.2℃)、日最低気温の週平均値は8月12日の週に(26.8℃)、この年の最高値を記録しました。その後、8月19日の週は最低気温の週平均値が23.6℃と、前週に比べて3℃以上も下がり、熱帯夜(最低気温が25℃を下回らない)からは解放されました。この週に多くの人が秋の気配を感じたと仮定し、当週を含む向こう3週間と前週の購買動向の違いを調べてみました。

図1 2019年の週別、最高気温、最低気温の推移(東京)
※参考までに8月12日の週を灰色で、8月19日の週を黒色で示しています。

リップクリーム、ハンドクリームがまず反応(表1)

ボディケア化粧品の分類の中で、8月19日の週に買物指数の伸びが大きかったのが、リップクリームとハンドクリームです。気温が下がる秋冬は、北西季節風の影響で日本付近は空気が乾燥することが多くなります。乾燥対策商品であるハンドクリームとリップクリームの買物指数が高くなったということは、秋の気配を敏感に察知し、消費者の需要が高まったものと推察されます。

表1 ボディケア化粧品の各カテゴリーの買物指数変化率
※買物指数:当社ドルフィンアイからダウンロードした来店者100万人における購入点数(週別)

UVケアなどは大きな落ち込み

一方、逆に気温の降下で買物指数が大きく低下したのがUVケア、むだ毛処理剤と制汗防臭剤です。特にUVケアは、8月12日の週に対する買物指数の割合が64%と、大幅な落ち込みとなりました。紫外線量は太陽高度の影響を受けるため、1年の中での気温変動の波とは時期的なずれが生じます。しかしながら気温降下に合わせてこのタイミングで買物指数が低くなったのは、UVケア用品は季節感の影響を強く受けて買物指数が上下する可能性を示しており、非常に興味深い結果でした。

なお、ボディローション・クリームは季節の進みに合わせて買物指数は増加傾向にありつつも、8月19日の週は前週を少し割り込むなど、秋の気配を感じたことに対する購買動向への反応が弱いのかもしれません。また、レッグ・フットケアはこの3週はいずれも100を下回った買物指数となっていますが、いずれも落ち込み度合いは小さく、この時期は気温との関係性が弱いようです。

食料品の中では?

食料品でも同様に、秋の気配を感じて購買動向が変化するカテゴリーがあります。ここでは一つの参考例としてインスタントシチュー(スーパーマーケット全国版データ)を取り上げます(表2)。8月19日の週は前週に比べて買物指数が2倍以上となっており、その後2週間も同程度の水準です。まだ8月12日の週の購入数水準があまり多くなかったため伸び率が高くなっている可能性がありますが、気温の降下に感応しやすいカテゴリーと言えそうです。

表2 インスタントシチューの買物指数変化率

季節の変わり目での需要変化を捉える

冒頭にも解説したとおり、8月頃は年間の気温トレンドの中で上昇から下降に転じるタイミングであり、秋冬物季節商品への関心が向く最初のタイミングです。このタイミングでどの程度の需要の伸び(興味の増加)があるかは、季節商品を取り扱う上で非常に重要な観点です。今回はサンプル的に日用品部門と食料品部門でそれぞれ1分類ずつ抽出して分析しました。流通小売各社であれば自社で販売している商品について、製造業会社であれば自社が製造している商品について、陽気の変化にどの程度敏感に反応して需要が変わるのかを分析して捉えることが有効ですので、是非自社データを用いてトライしてみてください。なお今回の分析で使用したドルフィンアイを、14日間無償でトライアルすることもできます。ぜひドルフィンアイに触れてみてください。

ドルフィンアイのトライアルはこちらからお申し込みいただけます。

気象データと購買データを掛け合わせた分析にご興味のある方はぜひお気軽に当社へお問い合わせください。ご相談をお待ちしております!

株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー、地球温暖化防止コミュニケーター。