東京で48年ぶりの強い冷え込みとなった日に売れたものとは

こんにちは。流通気象コンサルタント・気象予報士の常盤勝美です。今年も宜しくお願いします。2021年最初のテーマは、1年の中で最も寒いこの時期ということで、ここ最近の中で特に冷え込みが厳しかった日に買われたものについて調べてみました。天気予報などで報じられるいわゆる“第一級の寒波”が襲来した際の準備として参考にしてみてください。なお、データは当社サービス「Eagle Eye」に搭載されているドラッグストアパネル、首都圏エリアの、カテゴリ別日次購入個数を用いています。

2018年1月25日の冷え込み

ここ最近、主に関東地方で最も気温が下がったのが、2018年1月25日です。この3日前の1月22日に、いわゆる南岸低気圧の通過により東京都心で最大23cmの積雪を記録する大雪となりました。その低気圧の後から非常に強い寒気が日本上空に流れ込み、25日はほぼ全国的に非常に厳しい冷え込みとなりました。東京都心の最低気温は-4.0℃。1970年1月17日以来48年ぶりの低温でした(※1)。少し専門的な話をしますが、寒気だけでなく、地表面にまだ残っていた積雪が、冷え込みをより強めた要因と考えられます。積雪によって地表面に色の白い部分が多いと、太陽光が反射され、太陽からの熱(顕熱)が吸収されにくくなります。またその熱も、積もった雪を解かすためにまず使われるため、その土地を暖める(気温を上昇させる)効果が弱くなります。これらの複合的な要因により記録的な冷え込みとなりました。

使い捨てカイロは前日比約2倍と急増

2018年1月25日に1店舗あたりの購入個数が大きく伸びたカテゴリをここで紹介します。第一は「使い捨てカイロ」カテゴリです。図1に2018年1月1か月間の1店舗あたり購入個数の推移を示しました。25日の購入個数は、前日24日に比べて約2倍という急激な伸びでした。上旬(正月三が日を除く)から中旬と比べると4倍近い値です。強い冷え込みをしのぐため、多くの人があわててお店で使い捨てカイロを購入したことが想定されます。

図1 使い捨てカイロの1店舗あたり購入個数の推移(2018年1月)

ホット飲料にも反応が

使い捨てカイロは寒さ対策に購入される定番商品のため、急激な購入個数の増加は分かりやすい反応といって良いでしょう。それ以外に「インスタントスープ」でも反応が見られました。図2に示すように、前日24日と比べると約1.7倍の1店舗あたり購入個数となっています。インスタントスープはお湯を注いで飲むタイプのもので、冷えた体を温めたいというニーズがあらわれています。実際、「ココア」、「レギュラーコーヒー」「日本茶」なども25日に前日と比べて購入個数が伸びており、ホット飲料も全般的に強い冷え込みに対する注目カテゴリと言えそうです。

図2 インスタントスープの1店舗あたり購入個数の推移(2018年1月)

ちなみに“ホット飲料”は、寒さを強く感じたときにお客様が手を伸ばしたくなる商品として、真冬の冷え込みが強まったタイミング以外にも需要が一時的に伸びる時期があります。具体的には2月の余寒、3~4月の寒の戻り、6月の梅雨寒、冷夏などです。ホット飲料の在庫をあまり持たない時期の場合もあります。時期や体感的な寒さの度合いによって、どの程度の在庫を持っておくべきか、仮説検証を繰り返しながらある程度の経験則を持っておくと良いでしょう。

データの集計単位の決め方

気象と売上などの関係を把握する際、データを週別に集計することでその関係をより見やすくすることができます。日々の細かな気温上下や曜日による平均的な来店客数の違いなどの影響を除去するためです。

今回は特定の日付の気象現象に対してお客様がどのように反応したかを調べるため、週別に集計するなどの処理を行わずにそのままのデータを用いました。台風、梅雨入り・梅雨明け、春一番、木枯らし1号、大雪などの影響を調べる場合も今回と同様に、日々のデータをそのまま用いると良いでしょう。

このブログをご覧の皆さんは、データ活用に高い関心をお持ちなのではないでしょうか。一緒にお天気マーケティングを実践して、この冬の商戦を乗り切っていきましょう!

※1 「東京」の観測器設置場所が2012年12月に大手町から北の丸公園に移転した影響で、従前に比べて最低気温がより低めになりやすいことを考慮する必要があります。

株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー、地球温暖化防止コミュニケーター。