ウェザーMD的、今年の“真夏入り”日!

こんにちは。流通気象コンサルタント・気象予報士の常盤勝美です。皆さんは今年、いつ頃から本格的な夏が来たと感じましたか。地域によって違うでしょうし、人それぞれ感じ方も違うことでしょう。そのタイミングを推定する様々な材料があるかとは思いますが、今回は、購買データからそのタイミングを推定してみます。いわば、ウェザーMD的、今年の“真夏入り”日です。

2025年の梅雨明け

人々が“真夏入り”を実感する一つのきっかけとなり得るのが、“梅雨明け”です。事実、過去に気象庁が行った調査でも、気象庁からの梅雨明けの発表によって消費が増えるというアナウンス効果があることを示しています。それでは今年(2025年)の梅雨明けはどうだったか、振り返ることにします(図表1)。

図表1 各地の梅雨明け速報値と確定値(2025年)

ここでまず、速報値と確定値の違いについて説明します。

気象庁が発表する梅雨明けの日付には、速報値と確定値の2種類があります。

速報値は、梅雨が明けたとみられる日に発表されるもので、当日の気象状況に基づいて判断されます。その後、実際の前後の天候推移などを含めた各種観測データをもとに事後解析を行い、改めてその解析結果に基づく日付を確定値として発表します。梅雨明けの確定値は、毎年9月最初の平日、夏の天候振り返り資料とともに発表され、この日付が統計記録に残ります。

今年の関東甲信地方の例では、当初、気象庁から7月18日に梅雨明けが発表されました(速報値)。しかしその後、夏の天候を事後解析した結果、9月1日に公開された夏の天候振り返り資料の中で、梅雨明けの確定値は6月28日となりました。20日もの差が生じたことになります。このように、年や地方によっては速報値と確定値に差が生じることがあります。2025年の梅雨明けの例では、関東甲信以外にも、北陸で19日、奄美で10日、東海でも7日の差が生じました。

人々が今年“真夏入り”を実感した日として、地域によっては速報値と確定値の2つの候補日があったとの仮説が立てられます。

購買データから見る“真夏入り”

購買データから、消費者が本格的な真夏の到来を実感したと推察されるタイミングを見極めます。夏物特に盛夏期に需要が大きく拡大するカテゴリを、食料品部門から3つ(ファミリーアイス、乾麺、スポーツドリンク)、日用品部門から1つ(UVケア・サンタン)それぞれ選定し、購買データの推移を見てみました(図表2~5)。

図表2 ファミリーアイスの購買動向推移
図表3 乾麺の購買動向推移
図表4 スポーツドリンクの購買動向推移
図表5 UVケア・サンタンの購買動向推移

これらの購買データの時系列グラフから共通して言えるのは、6月半ば頃、購買指数が前週に比べて大きく伸びるタイミングがあるということです。そして、北陸~九州にかけての梅雨明け(速報値・確定値)時期の前後(6月下旬)は、特段大きな指数の伸びが見られていません。今年に関しては、梅雨明けよりも前の段階から“真夏入り”を実感する人が多かったことが推測されます。

今年の“ウェザーMD的真夏入り日”は

ということで私、常盤勝美が認定する今年のウェザーMD的“真夏入り”日は6月18日頃といたします。

※抽出データ                                      株式会社True Data「ドルフィンアイ」に搭載されている、「ファミリーアイス」「乾麺」(業態:スーパーマーケット)、「スポーツドリンク」「UVケア・サンタン」(業態:ドラッグストア)カテゴリの週次の買物指数(期間:2023年9月4日~2025年8月31日、データ抽出日:2025年9月11日、買物指数:来店者100万人における購入点数)。

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株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー。