こんにちは。True Dataの流通気象コンサルタント・気象予報士の常盤勝美です。小売業の皆さまへデータ活用法をお届けする本連載の第3回は、気象情報の販売促進への活用の第二弾です。前回第2回は長期予報を活用した販促施策を主体的に解説しました。今回はもう少しスパンの短い予報や、過去の実績データ(購買データ・気象データ)を販促に生かすやり方について解説していきます。
2週間程度先までの予報で、販促への活用の幅を広げる
中長期的な販促計画と気象予報は、リードタイムの兼ね合いで活用しにくいと決めつけていることはないでしょうか。以前はそういうこともあったかもしれませんが、近年の情報処理技術などの進歩によって、状況が変わっている部分もあるかと思います。すなわち、ITを活用することで、販促企画から実施までの期間を短縮できるようになったこともあるでしょう。また気象庁の予報も、予報対象期間が1週間後から向こう1か月の範囲の予報の種類が増えました。その予報を活用すれば、販促の精度を高めることが可能です。近年、気象庁での運用が始まった2週間気温予報及び早期天候情報について説明します。




活用方法
毎週木曜日に発表される1か月予報に加えてこれらの予報を活用すれば、2週目の気温傾向を事前に把握することができます。日配、生鮮など、気象条件によって売上の上下が大きくなりやすい商品の特売等の企画に関して、当該期間に予想される気温に基づく妥当性を吟味した上で実施すれば、販促企画の精度を高めることができるでしょう。リードタイム、取引先との契約形態などは個社ごとに異なると思います。以下の代表的な参考例の中で一つでも対応可能なものがあれば、ぜひ実践いただきたいと思います。
- 翌週末の売場計画策定
予想される陽気に合ったメニュー提案ができるような食材を中心とした売場を構築する
- 特売商品等の仕入れ数量変更
気象条件的に苦戦が予想される商品の仕入れを減らし、善戦が期待される商品の仕入れを増やす対応を、上流企業と交渉する
- 広告紙面の微調整
気象条件的に苦戦が予想される商品の紙面上の面積を小さくし、善戦が期待される商品の面積を大きくし、アピールの方向性を変える
過去の実績値に基づいた販促で、訴求に説得力を
購買データは、その当時実施した販促策だけでなく、気象条件、価格、流行・トレンドなどによってお客様が反応した結果です。その中で、気象条件にフォーカスして考えた場合、特定の気温条件に達した際、売上の伸びが大きくなることが確認されたのであれば、そこには非常に重要な因果関係があるということです。その分析結果に基づいて販促のトリガー条件を決めておきます。気象の予報からその条件にヒットするタイミングを見極め実施すれば、その企画自体が不発に終わるリスクはだいぶ減らすことができるでしょう。
そして、できればPOPなど、お客様の目に触れる形でその根拠を示していただきたいと考えます。「その時期、その気象条件のときにこの商品をおススメしたい」というお店側からの熱意を、根拠に基づいて示せば、より説得力のある商品訴求ができ、納得感をもってお客様がその商品を選んでいただけるでしょう。
今回は、2週間先までを中心とした気象予報と、気象×購買データの活用術について概略を説明しました。次回第4回は、そこをさらに深掘りし、気象×購買データの具体的な活用手順について解説します。
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〇「小売企業のための気象&購買データ活用法」バックナンバーはこちら 第一回 「気温40℃が夏の常識に!? 小売業は「地球沸騰化」にどう立ち向かうか」 第二回 「長期予報はもっと使える! 営業企画や販売促進への活用法」
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株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー。

