こんにちは。True Dataの流通気象コンサルタント・気象予報士の常盤勝美です。ここ数回は店舗スタッフの気象×購買データ活用について解説してきましたが、今回はより広い視点から、本部と店舗をつなぐスーパーバイザー(SV)の観点での気象×購買データの活用法について解説します。
“気象”を店長とSVの間の共通言語に
気象の世界には「観天望気(かんてんぼうき)」という言葉があります。動植物の動きや風回り、雲の形といった経験則から天気を予測する手法です。局地的な現象においては、気象庁の予報以上に高い精度を発揮することもあります。流通現場でも同様に、その土地の特性を知り尽くした熟練の店長であれば、コンピュータやAIが計算するよりも精度の高い客数予測、需要予測ができる場合があることでしょう。しかし、気候変動や周辺環境の変化により、従来の「勘」が通用しないケースも増えています。
経験に基づく「店長の勘」と、本社から提供される「客観データ」の間で方針に齟齬が生じ、コミュニケーションが平行線をたどってしまう場面があるかもしれません。そんなときに提案したいのが「気象データ」を共通言語として活用することです。筆者は気象データを「その土地の気候を表す通信簿」と呼んでいます。「店長の勘」と「本社方針」との間の違いが生じてしまった場合、「気象データ」という客観的な事実に基づく検討を行うことで「この店舗の立地では、何℃を超えるとお客様の行動が変わるのか?」といった「共通の認識」へと議論を転換できます。
データに基づく客観的な指導の実現
SVの方々が店舗巡回行う際、予算進捗や前年比などの実績数字を確認することは基本ですが、そこに気象データを加えることで、単なる数字の指摘ではなく、因果関係の解明から具体的な改善に繋がる意見交換が実現すると考えます。
気象を通じた「店舗個性」の把握
雨の降る日でも、店舗によって客数が大きく落ちる場合とそれほど落ちない場合があります。その要因は立地条件や駐車場の形、周辺の商業施設の影響などが考えられます。
SVの方々の強みは、担当する複数の店舗を比較することで、各店舗固有の「気候のクセ」を抽出できる点にあります。この固有の傾向をデータから読み解き、店長と共有することで、店長が自分の店舗が持つ立地特性を深く理解し、より自信を持って売場づくりに取り組めるようになるはずです。
気象予報を「戦略的な行動スイッチ」へ
SVの方々の日々の業務において、個別の店舗指導にとどまらず、広域の気象予報を読み解き、「今、どのタイミングで、何をすべきか」という店舗行動の「合図(キュー)」を出すことも、重要な役割と考えます。
もちろん、店長はじめ店舗のスタッフの方々も、天気や気温の急変などは気象予報などから掴んでいることでしょう。 しかしながら、店長は日々の業務に追われ、次々と起こる気象の変化に対して先手を取った対応をすることが難しい場合もあることでしょう。そこでSVの方々が気象データを根拠に、次のアクションの内容とタイミングを明確に示すことで、現場は迷うことなく準備を進めることができます。
まとめ
気象データを活用することで、現場は受け身ではなく攻めの姿勢で変化に向き合えるようになります。これからの気候変動時代、変化の兆しを先回りして店長に伝えることが一層求められるようになるのではないでしょうか。

次回第10回は、本部各部署における気象×購買データの活用についてまとめます。
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〇「常盤勝美のお天気マーケティングブログ」過去記事はこちら https://www.truedata.co.jp/blog/category/weather_marketing
〇「小売企業のための気象&購買データ活用法」バックナンバーはこちら 第一回 「気温40℃が夏の常識に!? 小売業は「地球沸騰化」にどう立ち向かうか」 第二回 「長期予報はもっと使える! 営業企画や販売促進への活用法」 第三回 「2週間予報や、過去データを活用した販促のやり方」 第四回 「気象×購買データのエビデンスに基づいた販促で、訴求に説得力を」 第五回 「季節イベント・季節現象との付き合い方」 第六回 「店舗での気象・購買データ活用マニュアル(基礎編)」 第七回 「店舗での気象・購買データ活用マニュアル(実践編)」 第八回 「店舗での気象・購買データ活用マニュアル(LSP編)」
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株式会社True Data 流通気象コンサルタント 常盤 勝美
〈プロフィール〉
大学で地球科学を学び、民間の気象会社で約20年にわたりウェザーマーチャンダイジング関連サービスに従事。2018年6月、True Dataへ入社し、気象データマーケティングを推進。著書に『だからアイスは25℃を超えるとよく売れる』(商業界)など。気象予報士、健康気象アドバイザー。

